やはり、食べることは生きることだと思うのです。
いっしょにご飯を食べられるということは、幸せそのもの。
いっしょにご飯を食べた回数が多い相手ほど、別れはつらいもの。
お母さんのお母さんは、すこし急ぎぎみに天国へとひっこしました。
だからあなたとは会ったことがありません。
あなたがいつも「おかあしゃん、おかあしゃん」と呼ぶ部屋の写真。
あれが、お母さんのお母さんです。
からだを悪くした母と過ごすあいだ、
「このオムライスを、あと何度食べられるだろうか」
と、お母さんはよく考えました。
小さい頃に食べた、あのおいしかったお料理のレシピを、尋ねてはメモしました。
そうしていま、お母さんのお母さんが作っていたお料理にとても近いものを、あなたが食べています。
今の時代、自分で作らなくても、おいしいものはいろいろとあります。
お料理をするかどうかは、好きずきで良いと思います。
だけどできるだけ残しておこうと思いました。
写真を添えて、やさしく、ていねいに書くつもりです。
あなたやお父さんが、これから先もずっと。
そのときどきの大切な人といっしょに、おいしいご飯を食べて、生きてゆけますように。
プロフィール
浅野 輝子(あさの てるこ)
大阪生まれ。神奈川県横浜市と兵庫県赤穂市で育ちました。
大学時代に知り合った夫と結婚。
2015年、2018年生まれの娘がいます。
お酒を飲みながら、おつまみや常備菜を作るのが好きです。